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再婚後出産「現夫の子」 100日禁止期間も撤廃 明治以来の父決定変更へ 無戸籍問題要因、法制審 法曹


2021年02月10日 共同通信社

 法制審議会(法相の諮問機関)の親子法制部会は9日、子の父を決める民法の「嫡出推定」を見直す中間試案をまとめた。離婚後300日以内に生まれた子を「前夫の子」とみなす規定の例外を設け、母が出産時点で再婚していれば「現夫の子」とする内容。現行規定は、母が出生届を出さず、無戸籍者を生む主要因となっていた。明治時代から続くルールの改正が現実味を帯びてきた。

 

 離婚時に妊娠中の女性を対象にした100日間の再婚禁止期間の撤廃も盛り込んだ。法制審は、パブリックコメント(意見公募)を経て議論を進め、最終案を法相へ答申。法務省は来年の通常国会への改正法案提出を視野に作業を進める。

 

 民法は、結婚200日経過後に生まれた子は現夫の子、離婚後300日以内の子は前夫の子とみなすと規定。子の福祉上、父を早く確定する必要があるとの考えに基づく。ただ、母が離婚直後に別の男性との子を産んだ場合に支障が出ていた。

 

 法務省によると、今年1月時点の無戸籍者は901人で、前夫が父となるのを避けるため母が出生届を出さなかったケースが73%に上った。

 中間試案は、離婚後300日以内の子は前夫の子とする規定は維持しつつも、出産時点で再婚していれば現夫の子とする規定を新設。妊娠時点の婚姻関係を基準に父を決める原則の例外とした。婚姻の解消が死別による場合に限っては、適用外とする案も残した。

 

 結婚後200日以内の子は、妊娠を機に結婚するカップルが増え、現状の戸籍実務でも夫の子としており、結婚後の子であれば夫の子とみなすと民法に明記する。200日以内の子は、父の死後、遺産相続などでもめ、親子関係を争われる余地があったが、それもなくなる。再婚禁止期間は必要なくなり、条文を「削除する」とした。

 

 父子関係を否定する嫡出否認の訴えは、夫にのみ出生から1年間認められているが、未成年の子と、子の代理で母にも広げ、提訴期間を3年か5年に延長する。

 

 「しつけ」を名目にした虐待事件を受け、親権者に必要な範囲で子を戒めることを認める「懲戒権」の見直しも議論。中間試案は、条文の削除や、体罰禁止の明文化を含め「引き続き検討する」とした。

 

※嫡出推定

 女性が婚姻中に妊娠した子は夫の子とみなす民法772条の規定。母が誰かは出産によって明らかな一方、父も子の養育上、早期に決める必要があるとの観点から定められた。現行法は「離婚から300日以内」に生まれた子も婚姻中の妊娠とみなす形になっており、血縁関係がない前夫が法律上の父として扱われるケースがある。

親子関係を否定するには、前夫による「嫡出否認」や、前夫を相手にした「親子関係不存在確認」といった訴えが認められなければならない。結婚していない女性が産んだ子の父を決める方法には「認知」がある。

 

出典:共同通信社